「株式市場は平日の決まった時間に開き、証券会社を通じて株を売買する」
私たちが当たり前だと思ってきた、この仕組みが変わり始めています。
2026年9月1日、ロンドン証券取引所(LSE)は、暗号資産取引所Krakenを運営するPaywardとの提携を発表しました。
https://www.nadanews.com/366546/
少し分かりにくいニュースなので、経営者の方向けに簡単に説明します。
今回の構想は、ロンドン証券取引所に上場している株式をブロックチェーンにつなぎ、24時間取引できる市場をつくろうというものです。
Paywardは、実際の上場株式を1対1で裏付けた「xStocks」というトークン化株式を提供しています。
例えば、100万円分の株式を裏付けとして、その価値に連動する100万円分のデジタル資産を発行するようなイメージです。
規制当局の承認を前提に、LSEは2027年から24時間取引市場「LSE 24」でxStocksの取り扱いを始める計画です。
重要なのは、単に「暗号資産の商品が増える」という話ではないことです。
長い歴史を持つ世界有数の証券取引所が、ブロックチェーンを金融市場の新しいインフラとして使おうとしている。
私はここに意味があると思っています。
株式、国債、ファンドまでオンチェーンへ
「オンチェーン」という言葉も、難しく考える必要はありません。
簡単に言えば、資産の保有や移転、取引などをブロックチェーン上で行えるようにすることです。
この動きはロンドンだけではありません。
2026年のSpaceXのIPOでは、Krakenが「IPO Access」という仕組みを提供し、投資家はIPOへの参加を申し込み、割り当てを受けた場合にはSpaceX株をトークン化した「SPCXx」を受け取れるようになりました。
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/f4fa9944712dbed33791ca8fc752c860d808ad71
米国では、さらに金融市場の中核にある国債にも動きが広がっています。
米国の証券決済インフラを担うDTCC(預託信託清算公社)は2026年7月、トークン化した資産を使い、米国債のレポ取引や株式取引などを本番環境で処理しました。
つまり、
株式、国債、ファンド、決済。
これまで証券会社や銀行などの既存のレールの上で動いていた金融資産が、少しずつブロックチェーンという新しいレールの上でも動き始めています。
日本でも「金」から「国債」「預金」まで
では、日本はどうでしょうか。
実は日本でも、さまざまな資産やお金をブロックチェーンにつなぐ取り組みが進んでいます。
分かりやすい例が「金」です。
ジパングコイン(ZPG)は、三井物産デジタルコモディティーズが発行し、金価格への連動を目指す暗号資産で、1ZPGが金現物1グラムと同等の価値になるよう設計されています。
https://www.mitsuidc.com/zpg-whitepaper
不動産の世界でも、マンションやオフィスやホテル、物流施設などを裏付けとしたデジタル証券(不動産セキュリティートークン)が登場しています。
そして2026年8月には、日本国債(JGB)のレポ取引をオンチェーン化する実証実験も始まりました。
レポ取引とは、国債などを使って資金を貸し借りする取引です。
一般の企業経営では馴染みが薄いですが、金融機関の資金調達や運用を支える重要な市場です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000356.000036656.html
金や不動産といった実物資産から、株式、国債まで。
こうして並べてみると、「オンチェーン=暗号資産」というイメージとは、少し違って見えてくるのではないでしょうか。
「暗号資産か、既存金融か」ではなくなってきた
これまでは、
「株式や債券=普通の金融」
「ビットコイン=暗号資産」
と、別々の世界として考えられることが多かったと思います。
しかし、その境界線が少しずつ曖昧になっています。
暗号資産が既存の金融をすべて置き換える、という話ではありません。
むしろ今起きているのは、私たちが昔から使ってきた株式、国債、預金、金などが、ブロックチェーンという新しいレールの上でも動き始めているという変化です。
インターネットが登場した時も、最初から現在のようなネット銀行やEC、クラウド会計などがあったわけではありません。
インフラが変わり、その上で少しずつ企業活動が変わっていきました。
ブロックチェーンも、これから同じような段階に入るのかもしれません。
では、企業に何が関係するのか?
「うちは上場企業でも金融関係でもないから関係ない」
そう思う経営者も多いでしょう。
しかし、企業の資産管理でも、現預金、株式、債券、不動産に加えて、デジタル資産という選択肢がより身近になるかもしれません。
大切なのは、
「暗号資産を買うべきか」ではなく、「金融の仕組みが変わった時、自社はそれを使える状態になっているか?」
という視点ではないでしょうか。
企業がデジタル資産と接点を持つ意味
金融市場そのものがブロックチェーンを使い始めて、今後普及するのであれば、経営者が、今のうちから、仕組みを知り、実際に触れてみる意味はあります。
例えば、暗号資産を取引所で少しだけ購入してみる
金や不動産のセキュリティートークンを1口だけ買ってみる
など、単なる投資としてではなく、
「経営者としてデジタル資産とどう接点を持つのか?」
という経営上の選択肢の一つとして、早くから慣れておくことが大切だと思います。
数年後には、「インターネット」や「AI」のように、「オンチェーン」という言葉を毎日使う日が来るかもしれません。
その時になって初めて調べ始めるのか?
それとも、まだ市場が変わる途中の今から、小さく理解を進めておくのか?
今回のニュースは、そんなことを考えさせられる興味深いものでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
<しるし株式会社>
会社概要
| 社名 | しるし株式会社(SHIRUSHI Inc.) |
|---|---|
| 設立 | 2017年9月1日 |
| 代表取締役 | 櫻田 学 |
| 資本金 | 1,718万円 |
| 事業内容 | ブロックチェーンに関する製品開発およびコンサルティング、データセンター運営、サーバーの研究・開発・運用・販売事業 |
| 所在地 | 本社:東京都立川市錦町2-3-3 オリンピック錦町ビル 富山支店(データセンター):富山県富山市内 |








