資産運用では、「何を買うか」と同じように、「どう保管するか」も大切です。
株式や預金とは異なり、暗号資産には、金融機関などに管理を任せるほかに、自分で管理する方法があります。その際に使われるのツールの1つが、専用の小型端末「ハードウェアウォレット」です。
いわば、暗号資産を動かすための鍵を保管する金庫ともいうべきものです。

その端末自体に、資産を盗み取るための不正装置が組み込まれていたとしたら、どうでしょうか?
2026年10月、ハードウェアウォレット「Ledger Nano X」に不正装置が発見されたという記事がありました。
NADANEWS|Amazon Japanで購入したLedgerに不正装置──マウントゴックス元CEOが報告
今回の記事をもとに、暗号資産を管理する際の注意点と、Web3の普及に向けて考えたい安全性の課題についてご紹介します。
1. 安全に管理するためのハードウェアウォレットに何が起きたのか
2026年10月11日、暗号資産取引所Mt.Gox(マウントゴックス)の元CEOであるマーク・カルプレス氏が、Amazon Japanで購入したハードウェアウォレット「Ledger Nano X」に不正装置が組み込まれていたと報告しました。
ハードウェアウォレットは、秘密鍵(暗号化された通信を復号するために使うキーで、本人だけが厳重に管理するもの)を、通常のインターネット接続環境から隔離して管理できるため、オンライン上の攻撃リスクを軽減できるという特徴があります。
しかし、今回報告された端末には、画面の表示データから「復元フレーズ」を読み取り、携帯電話の通信網を通じて外部に送信する不正装置が組み込まれていたとされています。
さらに、この装置は外見から発見することが難しく、内部の画面裏に隠されていた事例も報告されています。
なお、今回の報告では、購入した端末による実際の資産流出や販売者の詳細は明らかになっていません。
また、すべてのLedger製品に同様の問題があるということではありません。
2. 端末を盗まれなくても、資産を失う可能性がある?
ウォレットという名前から、端末の中に暗号資産そのものが入っていると思う方もいるかもしれません。
実際には、暗号資産の記録はブロックチェーン上にあり、端末は資産を動かすための「秘密鍵」を保護しています。秘密鍵は、送金等を承認するための重要な情報です。
もう一つ、厳重に管理したいのが「復元フレーズ」です。
復元フレーズを他人に知られると、端末を盗まれなくても、別の端末でウォレットを復元され、資産を移されるおそれがあります。
今回の不正装置は、この復元フレーズを狙ったものでした
そして、今回のニュースを理解するうえで知っておきたいのが、「セルフカストディ」という考え方です。
暗号資産には、取引所などに資産の管理を任せる方法のほかに、自分自身で秘密鍵を管理する「セルフカストディ」という方法があります。
セルフカストディでは、第三者に秘密鍵の管理を委ねず、自分自身で暗号資産を管理できます。
この仕組みを理解するうえで重要なのが、「秘密鍵」と「復元フレーズ」となります。
◆秘密鍵とは?
秘密鍵は、暗号資産の移動などを承認するために使用される重要な情報です。
第三者に秘密鍵を知られてしまうと、不正に資産を移動されるおそれがあります。
そのため、秘密鍵は厳重に管理する必要があります。
◆復元フレーズとは?
復元フレーズは、ウォレットを復元するためのバックアップ情報です。
一般的には12個や24個などの英単語で構成され、端末が故障・紛失した際などに、対応するウォレットを復元するために使用されます。
復元フレーズから秘密鍵を再生成できる仕組みも多いため、第三者に知られると、端末そのものを盗まれなくても資産を失う可能性があります。
つまり、秘密鍵と復元フレーズは役割こそ異なりますが、どちらも暗号資産の安全性に直結する重要な情報なのです。

なお、MetaMaskのようなソフトウェアウォレットも、Ledgerのようなハードウェアウォレットも、セルフカストディに利用できます。
ただし、ウォレットの種類や仕組みによって、秘密鍵や復元情報の管理方法は異なります。
3. 資産を守るために確認したい4つのこと
今回の事例からは、セキュリティ機能だけでなく、端末そのものの入手経路や管理方法にも注意が必要であることがわかります。
利用者が意識したいポイントは、次の4つです。
① 購入するサイトだけでなく、販売元を確認する
大手通販サイトに掲載されていても、販売しているのは別の事業者という場合があります。メーカー直販を優先するなど、製品の入手経路を確認し、信頼できる販売元を選ぶことが重要です。
② 安さだけで選ばない
極端な値引き品や中古品は、購入までの経緯を確認しにくいことがあります。保管する資産額を考えれば、端末価格の差よりも入手経路の確かさを重視したいところです。
③ 復元フレーズを安易に入力・保存しない
復元フレーズは資産管理に直結する重要な情報です。サポート担当者を名乗る相手にも伝えず、求められるままにウェブサイトやアプリへ入力しないこと。写真やメール、クラウドへの保存も避け、第三者に見られない方法で保管することが基本です。
④ 正規品の確認だけで安心しきらない
メーカーが提供する正規の確認手順を利用することが大切です。ただしLedgerは、正規の保護用チップが残っている場合、正規品確認機能では後付けの不正装置を検出できないと説明しています。確認機能と購入経路の両方に目を向ける必要があります。
4. 資産を守るための考え方
今回の記事で気になることは、ブロックチェーンではなく、暗号資産を安全に管理するための端末に不正装置が組み込まれていたという点です。
ハードウェアウォレットは本来、秘密鍵をオフラインで管理することで、インターネットを通じた攻撃のリスクを軽減する仕組みです。
しかし、その端末自体が改ざんされていた場合、こうしたセキュリティ対策だけでは資産を守れない可能性があります。
「Not your keys, not your coins」(秘密鍵を自分で管理していない限り、その資産の所有者とは言えない)という、暗号資産業界の格言があります。
Web3の特徴の一つとして、自分自身で資産を管理できるという点があります。
中央集権型に依存しない技術や概念で、非常に良いと思いますが、一方で、利用する機器の信頼性や秘密鍵の管理など、利用者がしっかりと理解し、判断しなければならないこともあります。
暗号資産が今後さらに身近なものになるためには、技術の進歩に加えて、利用者が安全・安心して利用できる環境を整え、利用者自身もリテラシーを高めていくことが重要なのではないでしょうか。
まとめ
セルフカストディによって自分自身で資産を管理できることは、Web3の大きな特徴の一つです。
しかし、その自由を活用するためには、利用者自身がセキュリティへの理解を深めることに加え、安全に利用できる製品やサービスが欠かせません。
暗号資産を保有する際は、値上がりの可能性だけでなく、保管や管理の方法もあわせて確認しておきたいですね!
Web3を誰もが安心して利用できる環境をどのように構築していくか。今後も考えていきたいテーマです。
<しるし株式会社>
しるし株式会社では、「ブロックチェーン技術の普及を通じて、困窮する家庭や企業をなくす」という企業ミッションを掲げています。
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会社概要
| 社名 | しるし株式会社(SHIRUSHI Inc.) |
|---|---|
| 設立 | 2017年9月1日 |
| 代表取締役 | 櫻田 学 |
| 資本金 | 3,418万円 |
| 事業内容 | ブロックチェーンに関する製品開発およびコンサルティング、データセンター運営、サーバーの研究・開発・運用・販売事業 |
| 所在地 | 本社:東京都立川市錦町2-3-3 オリンピック錦町ビル 富山支店(データセンター):富山県富山市内 |









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